これを見た瞬間、高校時代に僕が経験したとある出来事を思い出しました。
僕は親の仕事の関係で中高とアメリカに住んでました。高校1年生の頃、現地校でアメリカの歴史の授業にてパールハーバーについての講義がありました。日本人である僕はそのクラスの最中に先生から「君は日本人として、パールハーバーに関してどう思ってるんだ?」と名指しで、しかも攻撃的かつ敵対視を持って意見を求められました。
かなり戸惑い、心の中で「別に俺がやったわけじゃないし...俺関係ないし...え〜」と思い完全に沈黙状態でした。本当にこの時は頭の中は超混乱状態だし、辛く悲しく、メチャメチャ厳しい状態でした。
そんな僕が沈黙状態で困っている時に勇気ある僕の親友のアメリカ人がそこで「先生、確かに彼は日本人ですが、歴史上の出来事と彼は一切関係ないし、だいいち俺らはその時生まれてもいないんだから、そんな質問するのはオカシイと思います!」という助け舟を出してくれました。先生もその後発言を撤回しました。
それまでも、そしてその後も心無き人々から "Remember Perl Harbor!" やら "Jap! go home!" とか言われました。当時は80年代後半でちょうどジャパン・バッシング真っ最中。僕が住んでいたのはミシガン州デトロイト郊外のNorthvilleという町で人口の95%はFordの社員。なかには親がリストラされ職を亡くしたりで、ToyotaやHondaのジャパンを恨むのは甚だ理解出来ない事もないかも...って感じでした。
しかし...
仮にあなたが僕のかわりにこのような事を海外でされたらどう反応しますか?どう感じますか?どう思いますか?
そこであなたは戦いますか?
集団の中、日本人があなた一人きりだったらどうしますか?
第二次世界大戦で日本軍が行った残虐な行為、朝鮮や中国で行った大虐殺をあなたは日本人として責任を感じますか?
仮に責任とるとしたらどうやって責任とるんですか?
あなた一人で責任なんかとれるんですか?
「自分がやられて嫌な事は他人にはやらない」
子供ながら僕はそう思いました。
昔、韓国の偉い人(すいません、名前は失念してしまいました)がこのような事を言ったそうです。
「差別は人ごみの中で人の足を踏んでいるようなもの。踏んでいる本人は気づかなくても、踏まれている人は痛くて辛くて苦しい」
在日コリアンの子どもたちは拉致問題とは一切関係ありません。
彼らには一切罪はありません。
そう、あなたがパールハーバーの出来事と関係がないように。
「生まれた所や皮膚や目の色で
いったい、この僕の何がわかると言うのだろう」
ザ・ブルーハーツ「青空」より
Fight Against Racism
うーん。これは深くて重い・・・知らないより知っていたほうがいいし、今ある自分の土台となっている歴史的背景について聞かれたときに、あまりにも無知であちゃーなんてことを感じたことは誰にでもあると思います。
でも知らなかったら生まれなかったはずなのに知ってしまったが故に無意識のうちに差別という感覚が芽生える。どうしても影響を受けてしまうこともあるよなあと。
数年前、私はとある東京都職業訓練校に入ろうと入学申請書を書きました。そこは製靴技術専門の訓練校で。他の訓練校には必要のない住民票の提出が義務付けられていて、ふと不思議に思った私は確認してみました。すると思ってもない返事が・・・・
「この訓練校は入校に優先順位がありまして・・・」と。皮革産業・・・・そう分かる人にはすぐに分かるかもしれません。ここには部落問題が深く関わっていたんだな。部落問題なんて自分には何の関係もないと思っていたけれど目の当たりにして、まだまだ日本人に深く根付いていることを実感しました。そんな公なところでよく言えば保護されていて、逆に言えば差別されている・・・そしてその差別を受けることから生まれる強い結束力はこれまた政治的思考にまでおよんでいて、政治集会なんかにも大きな影響力を及ぼしていることを知りました。(これは在日コリアンの人々にも言えることで、私の在日コリアンの友人はすでにご両親の代で帰化しているものの、いつまでも集会への参加をかなり強制されていると言ってました)そしてその波に飲まれることを恐れている私は申請書をとりさげました。でも後でもうすでに自分は別の波に飲まれていることに気が付いていました。そう、本当は差別する側に入ってしまっていることです。無意識のうちに。表面的には思想的影響を受けたくないなんてことを思い込むことで差別しているという事実には目をそむけていました。こんなことは本来おおっぴらに語ってはいけないことかもしれません。でも今やっぱり敢えて書いたのは、誰に言われたわけでもないけれど、そのときの自分を情けなく思っているからです。長いものに巻かれている自分を。
寒さ本番、巻かれるのはマフラーだけにしなきゃ!
投稿情報: E-tin | 2004/01/31 03:59
そうね、マフラーと…
「あたたかい愛」?!
かな(笑)
投稿情報: 29 | 2004/02/02 18:29