コミュニケーションをデザインするための本はスゴイ本です。是非この本は一緒に仕事をしている仲間全員に読んでもらいたい一冊です。
広告業界で、今一番新しい領域であり注目されている「コミュニケーションデザイン」という仕事をどんな文献よりも的確に定義しています。さらに、この本の圧倒的な価値は著者が自ら手がけた事例をベースに現時点で考えられるベストな方法論がまとめあげられている部分でしょう。
この本を読むことで、彼が実務の中から2年間ほどかけて築き上げたノウハウを知り純粋に「なるほど!」と唸る部分が多々ありました。まさに彼の経験があってからこそ導くことのできたアプローチがこの本には詰まっています。
個人的には第3章「コミュニケーション・デザインの実践:考え方とヒント」が一番ためになりました。自分が見つけだした仕事の進め方を他者でも再現できるように仕組み化する事は大切だけど難しい。でもチームで成功を重ねる為には、その方法論を共有しないと駄目だと思います。この本を通じて改めて実感したのは岸君は自分の考え方をわかりやすくまとめ、チームメートがそれを実行できるようにキラーパスを出す才能に恵まれているんだなと。そのキラーパスのスキルはきっと女性に対しても有効に機能しているのでしょう。
どうしても岸君のコミュニケーションデザインと彼のモテ道とを繋げたくなるのは悪い癖ですね(w
ここからは赤ペンチェック部分をご紹介です。
・ 例えばクライアントから「傘が欲しい」と言われれば、一生懸命「最高の傘」を用意すると思います。一流になればなるほど、徹底的に優れた傘を用意するでしょう。しかしそれゆえに、本当は「濡れたくない」という、本質的な課題にあえて触れないようにしたりします。なぜなら「傘が欲しい」とオーダーされているからです。本質に立ち戻れば「雨の降らない時間を教えてあげてはどうだろう?」「地下道をつくってあげれば、絶対濡れないよね?」と、傘よりも適切な方法を思いつくこともあるわけです。・ コミュニケーション・デザインでは、本質かつ正論と徹底的に向き合うスタンスでプランニングを行います。
・ “思い込まず、自分の肌感覚を疑っていく”。この視点が今、極めて重要なのです。
・ コミュニケーション・デザイナーには、鋭い肌感覚とともに客観的データを読み解く力、そして今の空気を正しく読み取る力が必要とされるのです。
・ クライアントから提示される課題に対して「なぜそのような課題になったのか」、また「その課題に応えることで本当にクライアントの求める成果をだせるのか」について改めて考えることも私たちの大切な仕事になってきています。つまり、オリエンテーションを疑ってかかるということです。少なくともクライアント以上に世の中のことを知る努力をして然るべきであり、そういった知見からクライアントの課題の本質を見極める能力が「クライアント・インサイト」なのです。
・ 最も大切なのが、テレビCMやWEBといったメディア(手段)から考えないということです。私は広告コミュニケーションを展開した後、誰が、どのような状態になっていることで課題が解決されるのかというゴール・イメージから逆算して考えるようにしています。
・ 仕組みでなく気持ちをデザインする。
・ キー・アイデア=表現のアイデアではない
・ 表現的になにか面白いことを考えるという行為と、キー・アイディアを開発するという行為とは本質的に少し違っていると思います。
・ 最終的に“人が動く感じ”がコミュニケーション・デザインにとって一番大切なことであり、厳密に定義しなかったのも、人それぞれのやり方、考え方があってしかるべきだと思うからです。
・ 「圧倒的に“面白い”モノ(情報)」。これこそ、私がいま強く興味を持っているものです。時間争奪戦が激化し、広告は今まで以上にコンテンツに近づいていかざるを得なくなってきていると思います。
・ コミュニケーション・デザインについて、間違ってもクロスメディアやクチコミ・マーケティングの手法だと勘違いしないように気をつけてください。
・ コミュニケーション・デザインに一番大切なことは情熱なのかも・・・と思ったりもします。
社内でもコミュニケーションデザイナーの定義や役割について議論する事が最近増えましたが、人によって考え方や捉え方が違いすぎて困っていたところでした。
この本を読んだおかげで、最近自分の中でモヤモヤしていたものが少し整理されました。
岸君、素敵な本をありがとうございました。
この本、本当に本当にオススメです!
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