野村総研が「企業の広告・宣伝手法は、マスメディアから個別対応のITメディアへ〜HDRユーザーの過半数がテレビCM80%スキップ、今年の損失総額は約540億円に〜」という調査結果のニュースリリースを発表しています。内容的にはハードディスクレコーダーの普及に伴いCMスキップする人が増え、その結果損失額として540億円という数字になっているとの事です。また、インターネットの「普通化」によって従来のマスメディアへの接触時間が減っているという事も今回の調査結果で明らかになったそうです。
今回の調査結果は「まあ、そりゃそうだわな」って感じで以前から議論されていた内容ですが、ちゃんと損失額等で数値化している部分に注目すべきですね。野村総研からの調査結果となると、オッサンやお偉いさん達への説得材料としては(ある種)最強でしょう。
この調査結果を受けて「今後は消費者の個人的志向を意識した広告・宣伝形態へ」という事で従来の手法に代わる今後の具体的な広告・宣伝策として野村総研が提案している以下3点はちょっと安直かなと・・・ちなみにこんな事が書いてました。
・ プロダクト・プレイスメント(注2)によるテレビ番組、映画、ゲーム内などでのプロモーション活動
・ インターネットやフリーペーパー等の新しい媒体への乗り換え
・ 消費者への直接還元策としてのポイントやマイレージ付与
別に間違ってはいないので、全面的に否定はしないんだけど、なんか足りないな〜と思いました。この流れだとマス広告の最大の強みである「ドッカーン!」という爆発的な認知の獲得はどうするんでしょうかね?広告ビジネスの現場から見ても広告予算の大半は従来のマス広告に使われており、莫大なセールスをあげる必要がある大企業にとっては、この「ドッカーン!」を無くすのは勇気のいる判断になります。それはなぜかというと、上記で挙げられている3つの代表的な個別対応系施策だと「ドッカーン!」効果が出にくいからなんですね。例えはよくないかも知れませんが、空中から爆弾を落すのは一切やめて、今後は歩兵オンリーにしましょう・・・っつうのも、どうなのよ?って思うんですよね。
CMスキップ機能に対抗するにはスキップされないようなCMを作る、っていうのも一つ対抗策としてはあるのではないかと。番組もCMも両方楽しめるような状況になったら、広告効果も上がるだろうしTVというマスメディアの価値も上がるんじゃないかと思います。いい広告を作ればネットでの口コミ効果も期待できるしね。
僕自身もTVをあまり見なくなった人種のうちの一人だったりするので、調査結果に関しては一切反論はありません。しかし、マスメディアを絡めない広告の限界というか壁にぶち当たっているという現状も同時にあって、それをブレイクスルーする為にはどうすればいいのか?という事を引き続き真剣に考えていかないとな〜って思いました。
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