日本におけるブログの黎明期は2003年。ビジネスブログにおいては2004年。そして2005年現在、日々の生活の中でもあらゆる場所で「ブログ」というキーワードを目にするようになってきました。ブログ・ブームは一部のマニア層から一般層へと浸透し、個人レベルから企業レベルへと爆発的な広がりをみせています。そんな中、ブログ黎明期からビジネス利用における道なく道を切り開いてきたパイオニア・カンパニーであるイーナチュラルから「ビジネスブログのつくりかた 集客・営業・顧客サポートまでこれひとつ!」という本が満を持して出版されました。
2003年5月に自社運営のWebマーケティングブログ「eNatural.org」を立ち上げ、その後もマーケティングコンサルティング会社の市場通信【波多野blog】や榎本会計事務所のサイトをMovable Typeで構築したりと、当時ごく一部のマニアしか知らなかったブログに早くから注目しビジネス利用の可能性を探ってきたイーナチュラル。そこで培ってきた先行者ノウハウは2004年9月にスタートしたP&Gによるブログを使ったキャンペーンサイト除菌のアリエール「アイラブ・困ったさんコンテスト」でも発揮され大きな話題を生みました。そして翌10月には企業Web担当者のためのビジネスブログ情報サイト「ビジネスブログ」の運営を開始し、まさに日本のビジネスブログ界をリードする会社であると言えるでしょう。
最近は「ブームに乗り遅れるな!」と言わんばかりにブログに関する書籍やらセミナー等をありとあらゆるところで目にします。しかし、「流行のブログで何かやれば良い」という安直な考えでスタートしたらそれは99%失敗に終わるでしょう。なぜなら・・・
ブログは“手段”であり“目的”ではない
からです。これは「ビジネスブログのつくりかた」の3ページ目に強調文字で書かれています。流行に流されず、本質を見抜く力を持つ事こそが成功への第一歩なのです。
最近のブログ・ブームはウェブの黎明期に起こった事の繰り返しになっていないか?と29manは思ってます。
▼ ウェブ戦略としての『ユーザーエクスぺリエンス』—5つの段階で考えるユーザー中心デザイン
ウェブの黎明期、多くの人が「市場で一番乗りになることが成功のカギだ」と考えた。時代に乗り遅れたと思われないように、既存企業は先を争ってウェブサイトを構築した。しかしたいていの場合、企業は「サイトを展開しさえすれば、偉業の達成だ」と考えていた。サイトが実際に人々のために機能するかどうかは、せいぜい後からの思いつきにすぎなかったのだ。
これはUser-centered design (ユーザー中心デザイン)を提唱し、ユーザーエクスペリエンスの権威である Jesse James Garrett氏が書いた「ウェブ戦略としての『ユーザーエクスぺリエンス』—5つの段階で考えるユーザー中心デザイン」からの引用ですが、「サイト」と書かれている部分を「ブログ」に置き換えてみてください。近頃のブームを象徴した文章になりませんか?Garrett氏は「人々が何を欲しているのか」「人々が何を必要としているのか」「価値があると感じるものは何か」について理解するところから始め、それを戦略的にユーザーエクスペリエンスとして提供する事がウェブサイトの成功には不可欠であると主張しました。彼の考えは世界中で大反響を呼び、5年経った今でも「ウェブ製作現場」のバイブルとされています。
話を「ビジネスブログのつくりかた」に戻します。第2章の「まずは基本戦略を設定する」を読むと、
・ 何を目指すのか−目的の設定
・ 誰に伝えるのか−ターゲットの設定
・ 何を伝えるのか−テーマの設定
・ どうやって伝えるのか−コンテンツの設定
といった内容で構成されています。これはGarrett氏が提唱したユーザーエクスペリエンスの考えと共通しているポイントが数多く見受けられます。ここが「ビジネスブログのつくりかた」が他のブログ本と大きく異なる点ではないかと29manは感じました。「質の高いユーザーエクスペリエンスを備えたビジネスブログ」を作る!これこそがビジネスブログが目指すべく正しい方向性なのではないか?と思います。
これからビジネスブログを企画される方やインタラクティブ・マーケティングを志す方は「ビジネスブログのつくりかた」と「ウェブ戦略としての『ユーザーエクスぺリエンス』—5つの段階で考えるユーザー中心デザイン」をセットで読まれる事をオススメします。
最後になりますが、この本の隠された魅力はなんといっても「アルファブロガーが書いたブログ成功本である」という点です。著者の小暮正人氏はネタフルという月間約100万PVを稼ぐ超有名ブログを個人で運営しています。イーナチュラルを人に紹介する時は「彼等は個人で立証された揺ぎ無いノウハウと実績を持ち合わせた最強のウェブコンサルタント集団である」と29manは言います。その後に「ギャグもイケてます」と付け加える場合もあります(笑)。「ビジネスブログのつくりかた」には小暮氏がネタフルで実践しているSEOを意識したタイトルの付け方やブログを書くためのネタ帳の作り方まで書いてあります。個人でブログを運営されている方々が読んでも目からウロコなノウハウがいっぱいなので要チェックです!
ひとつだけ残念だったのはネタフル・ギャギングに関するハウツーが一切触れられていなかった事ですかね(笑)
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すげー。久々に29がまともなこと書いてるよ(笑)
投稿情報: タカヒロノリヒコ | 2005/04/12 02:24
うふ!
投稿情報: 29man | 2005/04/12 08:39
世界がどんなになっても、
結局キモになるのは
コミュニケーションなんだね。
インターネットのテクノロジーには疎い方だけれど、
そんな中で見つけて「いいな。」って思うサイトや
ブログをまめに見ている理由は、
やっぱり「誰かに伝えたい」とか
伝えたい事でコミュニケーションを取りたい
意思とか「熱」を感じるからなんだよね。
本当の「創造」とか「クリエイティビティ」って
そういうものだと信じてるし。
とにかく、
ブログが健康的なビジネスの為の
コミュニケ−ション道具になると
(ワールドワイドにも小規模にも)
面白いなーと思ったノダー。PEACE
投稿情報: nabe30000 | 2005/04/13 02:04
ヤーマン!
「熱」が伝わる「創造的」なブログがやっぱりイイよね。
それは個人でもビジネスでも。
味わいのあるディープなコメントありがとう!
投稿情報: 29man | 2005/04/14 18:33
こんにちは29manさん、はじめまして。
大変、興味深い記事ありがとうございます。
企業のblogは目的ではなくて手段である。
あたしは企業ではないけど個人でblogをある目的のため始めたものの、いまや本末転倒になってきていて何がなんだかわかんなくなってます。
個人の場合はお金かかってないからいいですけど。
仕事でblogを活かせないか、日々検討中&勉強中。。。
ところで、この前言っていた本、発売になりました。
投稿情報: さちグレ | 2005/04/21 17:50